バーに奈良美智さんの落書き イーストビレッジ、価値は5億円以上?

 青森県出身の現代美術家、奈良美智(よしとも)さん(59)が10年前、マンハッタン区イーストビレッジのバーに描いた落書きが注目を集めている。香港で6日に行われたオークションで、奈良さんの作品「ナイフ・ビハインド・バック」が2500万ドル(約27億円)近くで競り落とされたのがきっかけとなった。芸術専門のニュースサイト「アートネット・ニュース」が9日、報じた。
 落書きがあるのはアベニューAに立つバー「ナイアガラ」。09年、個展を終えた奈良さんがふらっと立ち寄り、しばらくして何か思いついたように白い壁に直接落書きをし始めたという。
 同サイトによると、落書きは高さ3フィート(約92センチ)、横幅8フィート(約2.5メートル)の壁に描かれ、少年や少女が楽器を演奏。遊び心ある吹き出しが添えられている。他にもトイレ周りに2枚、バーの奥に1枚、いずれも少女の落書きがあり、日付とサインも残されている。同店は全ての落書きにプラスチックのカバーをかけて保存している。
 専門家は落書きに500万ドル(約5億4400万円)相当の価値があると踏んでおり、バー自体の価値よりも高いとの声もある。奈良さんの代理人、ティム・ブラムさんは「人柄がいいから、その場の雰囲気が気に入って描いたもの。金銭に変えられることを想定していない」と語っている。

バーに残された落書きの一部(photo: David Chin; Yoshitomo Nara)