秋の美術品競売が低調 「人の不幸が頼みの綱」

 この秋は美術品の競売が低調だ。ジェフ・クーンズの彫刻が9110万ドルの高値を付け、モネの油絵が1億1070万ドルで競り落とされるなど、鼻息が荒かった春とは雲泥の差。11日と12日に行われた印象派や近代美術作品の競売の売り上げは、今年5月と比べてクリスティーズで52%、サザビーズで40%の減少となった。
 13日までにクリスティーズの現代美術の売り上げは3億2530万ドル(約354億円)。春は5億3900万ドル(約586億円)だった。ニューヨークタイムズが13日、報じた。
 大きな要因の1つは、「一流品」の出品がなかったこと。美術品関連の弁護士、トーマス・ダンジンガーさんは同紙に、「これといった作品がない」と話す。しかし、ダンジンガーさんは「活況の美術品市場が終焉したわけではない」と指摘。
 来春には不動産開発で富を築いたハリー・マックロウさんの離婚に伴う7億ドル相当の美術品の競売が始まる他、富豪の遺産からの出品のうわさもある。美術品市場は、離婚や死去など「人の不幸が頼みの綱」のようだ。

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