保釈制度改正に見直しの声 反ユダヤ主義の憎悪犯罪頻発で

 反ユダヤ主義の憎悪犯罪(ヘイトクライム)が頻発する中、ニューヨーク州で1日から発効した新しい保釈制度に対して「市民の安全が脅かされる」との批判が噴出している。これを受け、クオモ知事や州上院のアンドレア・スチュアート=カズンズ民主党院内総務は、憎悪犯罪に関して修正を検討する意向を表明した。ゴッサミストが6日、報じた。
 新しい保釈制度を提案したマイケル・ジアナリス州上院議員(民主)も「市民の安全を確保する公平な制度作りに全力を尽くす」と検討に前向き。パトリック・ガリバン州上院議員(共和)らは、「社会に危険を及ぼす差し迫った脅威があるか」を検討項目に加えるよう主張。知事らは、向こう数週間内に裁判官の裁量権拡大など具体的な内容を検討するとしている。
 新しい保釈制度は、軽犯罪や暴力行為以外の重罪で起訴され、保釈金を支払えないとの理由で勾留されている被告を保釈するというもの。前段階の保釈は昨年12月から始まっていた。
 ブルックリン区で12月27日、ティファニー・ハリス容疑者(30)は伝統的ユダヤ教徒の女性3人を平手打ちし、差別的用語を浴びせかけたとして逮捕されたが自己誓約だけですぐに釈放。しかし、同30日に再び別の女性に暴力を振るった。同事件は、憎悪犯罪に対する取り締まりと新しい保釈制度の「失敗例」として注目を浴び、ハリス容疑者は精神鑑定のため精神病棟に拘留。複数のメディアによると、事態を重く見たデブラシオ市長が介入し、同容疑者は刑事告発される可能性があるという。