ロングアイランドのナッソー郡地方検事局のマデレン・シンガス検事長はこのほど、犯罪組織マラサルバトルチャ(MS-13)のリーダー格とみられる構成員が逮捕されたことで、同組織による殺人事件が激減したと発表した。ウォール・ストリート・ジャーナルが9日、報じた。
2018年1月までの7カ月にわたり複数の捜査機関が合同で行った摘発により、同組織のリーダー格とみられる12人以上を逮捕。これにより、指令を出す地元のリーダーが不在となった。ナッソー郡で2016年に起きた26件の殺人事件のうち7件、また17年に起きた5件がMS-13の構成員による犯行だったが、18年は1件に減少。19年に起きた12件の殺人事件のうち、MS-13が関与したものは1件もなかった。18年の摘発の後、昨年12月にサフォーク郡でさらに大規模な摘発が行われ、当局は、ニューヨーク州のギャングを効果的に無力化したと発表していた。
MS-13は、エルサルバドルを拠点とする犯罪組織。近年、特にロングアイランド在住の若者を残忍な手口で殺害し、全米の注目を集めていた。MS-13の台頭について当局は、14年から16年にかけて中米から流入した不法移民が一部関係していると推測。社会的ネットワークと経済的支援の欠如から若年層がMS-13の「誘惑」に取り込まれていったという。
ナッソー郡警察のパトリック・ライダー本部長は、MS-13のモットーを、「殺し、強姦し、支配すること」と非難した。