「住居守るための正当防衛」主張 学生2人刺し、重傷負わせたホームレス



 ホームレスの男が、段ボールで作った自身の「小屋」を蹴った学生2人を刺し、重軽傷を負わせた事件をめぐる裁判で、被告の男が「住居を守るための正当防衛だった」として無罪を主張している。ニューヨークタイムズが15日、報じた。
 マンハッタン区検事局によると、ジョセフ・マトス被告(57)は18年10月28日、マンハッタン区東56丁目の路上で、段ボールで作った小屋の中で就寝中に、大学生のジョージ・モラレスさん(22)とホセ・ボッシュさんに小屋を蹴られた。逆上したマトス被告は、2人を追いかけ、モラレスさんの肩と背中、腹部を刺し、ボッシュさんのまぶたに切りつけた。マトス被告は傷害容疑で逮捕・起訴された。被害者の2人は事件当時、酔っていたため「中に人がいると思わなかった」と話していた。
 マトス被告の弁護士は、同被告は、第三者が無許可で住居に侵入し、罪を犯そうとしていると住居人が判断した場合、殺傷能力のある武器で防衛できるとするニューヨーク州の法律「キャッスルドクトリン(城の原則)」を正当に行使しただけと主張。一方、検察官は、被告が寝ていた小屋は、壁と屋根のある「永久構造物」ではないため、法で定義する住居には該当しないこと。また、事件は小屋の外で発生しており、仮に小屋を「住居」と認めた場合でも、城の原則は適用されないと反論している。
 同被告が有罪となった場合、22年の禁錮刑に直面する可能性がある。