ニューヨーク市は、年間2億ドル(約218億円)を投入し、貧困度が高い地域にある267の公立校やコミュニティースクールを支援する取り組みを行なっている。しかし、生徒の州統一試験の成績にほとんど影響を及ぼしていないことが、市が非営利のシンクタンクに依頼した調査結果から分かった。ウォールストリートジャーナルが28日、報じた。
この取り組みは、生徒から貧困の苦悩を取り除くことにより、学業に集中し、成績を上げることを目標とするもの。調査によると、2017学年から18学年度の3年生から8年生の州統一試験の数学の平均成績は、過去3年間と同様に上昇が見られたが、それ以外の科目で大きな変化は見られなかった。
一方、コミュニティースクールを対象とした取り組みでは、常習的な欠席が減り、卒業率が上昇していた。コミュニティースクールは、歯科、メンタルヘルスのカウンセリング、眼鏡、放課後のプログラム、食糧支援などのために追加の支援金を受け、家族のための地域の拠点としての機能を目指した。
コロンビア大学ティーチャーズカレッジの教育学教授アーロン・パラスさんは、この取り組みにより、「学習意欲を妨げる空腹や健康上の問題が解決に近づいた」と評価。一方で、「教師の質、カリキュラム、また学業成績に関連するその他の要因に対処していない」と懸念を示した。デブラシオ市長は調査結果を歓迎。市教育局のカランザ局長も「学習するためには基本的なニーズが整っていなければならないということだ」と述べた。