ニューヨーク市警察(NYPD)のダーモット・シェイ本部長は4日、先月1日から施行となった保釈制度改正法の影響で、重大犯罪が増加していると批判した。ウォール・ストリート・ジャーナルが4日、報じた。
NYPDの最新の犯罪統計によると、2020年の年初から発砲、暴行、自動車窃盗、強盗事件が増加していた。殺人、強姦、憎悪犯罪(ヘイトクライム)の数は減っていたものの、1月に発生した重大犯罪全体の件数は、前年の同時期と比べて16.9%増加していた。この増加は、ほとんどの軽罪および非暴力的な重罪で起訴された被告に対し裁判所が保釈金の支払いを課すことを禁止した新法が導入された時期と重なる。シェイ本部長は、州議会とクオモ知事により昨年の州予算の一部として承認された同法に、「以前から懸念を表明していた」と述べ、「NYPDのデータが、新法施行により保釈金なしで刑務所から釈放された被告がさらなる犯罪を犯したことを証明している」と主張した。
一方、法律扶助協会の刑事弁護実務担当のティナ・ルオンゴ弁護士は、「1カ月分のデータで、犯罪傾向を論ずるのは早計。シェイ本部長と保釈制度改革に反対する者たちからの無責任かつ誤った情報だ」と切り捨てた。
NYPDが4日に発表した統計によると、市で1月に起きた発砲事件数は、昨年同時期の52件から28.8%増の67件で、暴行は1471件から7.9%増の1587件だった。