今回は、股関節の筋力の低下によって生じる腰や膝の痛みについてお話しします。
股関節は動き(可動域)が広く、3つの運動軸を持つ関節です。股関節の運動可動域は、体の運動機能にとって非常に重要です。
年齢を重ねると、身体の柔軟性は低下します。股関節で最初に低下するのは内股の動き「内旋(ないせん)」とされています。この動作は歩くときや走るときに、効率的にお尻の筋肉、「臀筋(でんきん)」を使うために必要です。
臀筋は主に足を後ろに蹴るときに働く股関節の伸展運動時に使われます。歩くときや走るときの動作の最終可動域では、内旋が必要です。内旋可動域に制限があると、足を後ろへ蹴る動作にも影響が出てしまい、足を動かす範囲が制限されてしまいます。結果として、股関節伸展の可動域が狭まり臀筋の筋力低下につながってしまいます。
臀筋は体で一番強い筋肉で、背骨を安定させるためにも非常に重要な役割を果たしています。臀筋は、膝や下半身の運動力学の効率性に欠かせない筋肉といっても過言ではないでしょう。
股関節の内旋・外旋は身体をひねる運動にも必要です。例えば、立った状態で後ろを振り向く際にも、股関節の内旋と外旋が伴っています。もし、股関節の回旋運動に制限がある場合、股関節の上部分に位置する腰椎(ようつい)のねじれや、股関節の下にある膝関節のねじれが過剰に生じてしまいます。
腰椎と膝関節は通常、回旋運動には適していないため、反復的に回旋が行われると腰や膝の痛みの原因になることがあります。
股関節の動きの制限や筋力の低下は防止または改善ができます。
通常、人間は年齢を重ねると、運動する機会は減少する場合が多いのですが、全身を使う運動を続けることは何よりも大切です。体を使わなければ、柔軟性や筋力は失われていきます。
ファンクフィジオでは、1人ひとりの患者の症状に合わせて、柔軟性を向上させ筋力を強化するトレーニングを指導しています。
藤井よし
カリフォルニア大学(サンフランシスコ校)理学療法学博士課程修了。米国でも数少ない米国整形徒手療法学会(AAOMPT)のフェローシップ修了。顎関節などを専門とする。
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