感染症の犠牲者が眠るハート島の歴史 黄熱病やHIV、共同墓地島のこれまで

 ブロンクス区沖にある共同墓地島、ハート島では現在、新型コロナウイルスにより死亡し、身寄りのない人の遺体が埋葬されている。この島では、ニューヨーク市でこれまでに流行した、感染症の死者を埋葬してきたという歴史がある。ナショナル・ジオグラフィックが13日、報じた。 
 医者のトーマス・ペルさんが先住民から土地を購入したのが1654年。ニューヨーク市が1869年にこの島を買い取り、1年後、「ポッターズ・フィールド」と呼ばれる45エーカー(約18万平方メートル)の土地を墓地として使用するようになった。最初の埋葬者は、結核で亡くなったルイーザ・バン・スライクさん。24歳だった。翌年、市では黄熱病が流行し、この島に隔離される患者もいた。1985年には、エイズウイルス(HIV)感染による死者が埋葬され、90年代まで続いた。2008年に流行したインフルエンザの死者も同島に葬られている。そして今日、新型コロナの死者がここで永久の眠りについている。
 ハート島の埋葬者数は毎年1000人以上。総数は100万人と推定されているが、火災などで記録が消失し、全体像は不明だ。管理するのは市矯正局(DOC)。
 埋葬作業は、ライカーズ島刑務所の囚人が行っていたが、刑務所内で新型コロナウイルスが蔓延したため、4月下旬からは外部の作業員を雇用するようになった。通常、埋葬者の身内や友人に限り月2回、墓参を行えるが、コロナ禍の影響で現在は中止となっている。 

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