歯科医院に甚大な経済的損害 「治療は不可欠」再開求める声も

 ニューヨーク市や近郊の歯科医院が、新型コロナウイルスの影響による多大な経済的損害を受けている。ウォール・ストリート・ジャーナルが30日、報じた。
 ニューヨーク州歯科医師会の事務局長、マーク・フェルドマンさんによると、歯科医院は中小企業が多いにも関わらず、3DやX線の購入費や維持費の他、医療装置の経費も大幅にかかるという。
 同州の歯科医は現在、州の外出制限に伴い、虫歯などの治療に使われる差し歯や被せものの修理、欠けた歯の治療の他、緊急でない患者の治療が禁止されている。そのため、従業員の収入は減少して、衛生士や受付人が解雇を強いられていることが多い。
 歯科医師会の会長で、スタテン島で歯科医院を経営する医師、クレイグ・ラトナーさんは現在、歯の激痛や感染症など、重症な患者の診察だけを行っている。しかし診察を行わず放置されている軽症の患者の症状が今後、悪化して深刻になることを懸念している。
 ラトナーさんは、「歯科治療は不可欠なもの」と訴え、同州の外出制限の区切りとなる今月15日から、完全な診察の再開を望んでいる。一方、同州のクオモ知事はこのところ、コロナ禍の影響が少ないアップステートの一部の地域から、徐々に経済再開を進めていく意向を表明。同州労働局によると、同州の医療関係者や社会支援業界の労働者は、3月上旬から4月25日までに、昨年同時期比2189%増の18万243件の失業給付申請を行っていた。申請者数はサービス業や小売店の労働者に次いで、3番目に多いという。

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