「自分も悩んでいる」コロナの相談聞く心理療法士 同業者の助言求めるカウンセラーも増加

 ニューヨーク市で新型コロナウイルスの影響によるメンタルヘルスケアの需要が増大するなか、メンタルヘルスの専門家も、コロナ禍に関する患者と同じ悩みを抱えている。ニューヨークタイムズが3日、報じた。
 マンハッタン区チェルシーの心理療法士、メリッサ・ネスレさんはこれまで、患者が抱えるトラウマを自身も経験したことはなかったという。しかしこのところ、患者から受ける自粛生活やコロナ禍に関する相談は「私も今、悩んでいること」と話している。
 また、患者の中には、ネスレさんが同じ状況下にあることを察して気を遣い、悩みを相談することに消極的になる人も多いという。「『自分は大丈夫だ』と患者に安心してもらって相談にのりたい」とネスレさんは話している。
 4月初旬、87歳だった自分の父親を新型コロナウイルスの感染で亡くしたというセラピストは3月まで「人の死」に関するトラウマを抱えた患者の治療を行っていた。父親を亡くして「患者と自分の体験に、深い共通点を見つけた」と同セラピストは話している。
 連邦議会は3月初旬、感染を恐れるセラピストと患者との社会的距離を保持するために、遠隔治療を認める有事立法を制定。これによりウイルス感染を隠してビデオ診察を続けていたが、患者から感染を気付かれ病状を心配されたという医師もいる。
 また、自身のカウンセリングを求めるセラピストも多い。米国精神分析学会が3月に開始した同業者助言プログラム、「ピア・アドバイザリー・プログラム」には、申し込みを開始した初日、1000人以上の応募があったという。

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