(21)コロナ収束後は脱中国を目指すべき
アメリカ、とくにトランプ大統領は、コロナ発生源の中国が真っ先に立ち直り、世界に対する覇権を強化していくのを苦々しく思っている。なぜ、アメリカが世界でいちばんコロナの被害を受けるのか、納得がいかない。
しかし、このまま手を拱いていると、中国の影響力は強まるばかりだろう。なぜなら、医療分野における中国の力は侮れないからだ。なんといっても中国がダントツなのが、抗生物質である。現在、アメリカで販売されている抗生物質の97%が中国産で、新華社通信は「中国がAPI(原薬)の対米輸出を禁止すれば、アメリカは医薬品の不足によりコロナウイルスであふれ返るだろう」と警告したと、「ニューズウィーク」記事(3月31日『メイドインチャイナ・パンデミック』)が伝えている。
iPhoneも中国で生産されていることを思えば、医療から電子機器まで中国に握られていることになり、アメリカは今後一刻も早く、「脱中国」を目指すほかない。
イタリアが中国以外で真っ先にコロナ感染大国になったのも、中国との関係を強めすぎたからである。イタリアは欧州主要国のなかで率先して「一帯一路」に参加し、中国マネーを引き込んだ。
北部の港湾整備に中国との「インフラ合作」を受け入れ、それを契機に、約40万人の中国人が北部イタリアに移り住んだ。スペインは「一帯一路」の参加国ではないが、中国のインフラ合作を積極的に受け入れてきた。
となると、コロナ収束後は、イタリアもスペインもアメリカとともに対中関係を見直すだろう。
日本も同じだ。日本は中国を中心とするサプライチェーンに完全に組み込まれ、マスクさえ手に入らなくなってしまった。必要なマスクの8割を中国生産に頼ったツケだ。
今後は、アメリカとともに、日本は覚悟して「チャイナゼロ」を目指す必要がある。その覚悟がないと、コロナショックによる大恐慌の被害をもっとも受けるわが国の資産は、中国マネーに買い叩かれ、日本はますます焼け野原になってしまうだろう。(了)
【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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