歯科医院で個人用防護具が不足 治療再開も、ウイルス感染を懸念

 全米の歯科医院がこのところ、治療を再開し始めているが、その多くでは新型コロナウイルスの感染を予防する個人用防護具(PPE)が不足している。ウォール・ストリート・ジャーナルが4日、報じた。
 歯科治療は、患者の顔から約12〜18インチ(約30〜46センチ)の至近距離で行われるため、飛沫やエアロゾル感染するリスクが指摘されている。多くの歯科医院では空気清浄装置などを設置して感染予防対策を行なっているが、N95やKN95マスク、高品質手術用マスク、医療用ガウン、顔面シールドなどの防護具が不足しているという。
 米歯科医師会(ADA)は3月中旬、全米の歯科医に対し、緊急以外の治療を4月30日までは休止するよう勧告。期限終了後の治療については、各地方自治体の判断に委ねた。
 しかし5月中旬、ADAが6504人の歯科医を対象に行った調査によると、53.2%が、PPE不足のため開業できなかったと回答。また歯科医の24.9%が、N95またはKN95マスクが1〜7日分しかなく、15.2%が1つもないと回答。医療用ガウンについては、25%が1〜7日分、16.7%が1着もないと答えていた。
 ADAによるとパンデミックが始まった当初、歯科医は最前線の職種とみなされていなかったため、多くの歯科医が新型コロナウイルスの患者を診察する病院に防護具を寄付したため、現在不足する事態となっている。
 連邦緊急事態管理局はこのほど、病院、養護施設、医師に次いで歯科医をPPE優先リストの4番目に引き上げ、約250万のN95マスクをADAに提供する意向を表明した。

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