ニューヨーク州議会上下両院はこのほど、44年間にわたり警官の懲戒記録を公表することを禁じる同州公民権法「第50条A項」を廃止する法案を可決した。警察行政の透明性を高めることが目的。ゴッサミストが9日、報じた。
ブロンクス区のジャマール・ベイリー上院議員や、マンハッタン区のダン・オドネル下院議員が提出した同法案は、同州の情報公開法に基づき、要求された場合は警官の懲戒記録を提出することが警察当局に義務付けられる。なお、警官の自宅住所などの個人情報は保護される。
この法案は、長年にわたりこう着状態にあった警察改革一括法案の一部だった。2014年にスタテン島で警官に取り押さえられ死亡したエリック・ガーナーさんの事件で、警官の内部情報が第50条A項により暴かれなかったことや、今年5月25日、ミネソタ州ミネアポリス市で警察による暴行でジョージ・フロイドさんが死亡したこと、さらに全米でこれまでに起きた警察による暴行事件を巡り、ニューヨーク市では同法案を廃止する大規模な抗議運動が行われていた。その影響で法案を可決する動きが加速していた。
同州のクオモ知事は9日、この法案について「私は抗議者達を支持する。今が変化の時だ」と話し、すぐに同法案に署名をする意向を表明した。法制化後、即時発効となる。
一方、ニューヨーク州の警察組合は、同法案を「法執行機関への攻撃」と反論。根拠のない苦情などを含む全ての懲戒記録を公開しても「警官への信頼や公正の指標にはならないだろう」と主張している。