奴隷廃止論者の家を歴史的建造物に ブルックリン区、LPCが採決へ

 ニューヨーク市歴史的建造物保存委員会(LPC)は6月30日、ブルックリン区ダウンタウンにある奴隷廃止論者の家を歴史的建造物に指定するか、採決を近々行うことを明らかにした。amニューヨークが1日、報じた。
 この家は、同区ダフィールド通りの227番地に立つ19世紀に建てられた長屋の1部。1851〜63年、奴隷廃止論者、トーマス・リー・テゥルーズデルと妻のハリエットが住んでいた。2人は北東部に複数の奴隷廃止組織を設立したことで知られる。長屋は秘密結社また「地下鉄道」の駅として、南部から逃亡した奴隷をかくまっていたという言い伝えもある。
 この日オンラインで開催された公聴会で、LPCのサラ・キャロル委員長は「人種差別が社会制度として存在していた。我々の暗い歴史を記録する必要性が高まっている」との認識を示し、「昨今の運動に鑑み、ランドマークとするよう促したい」と発言した。
 同委員会は2007年、この長屋の歴史的建造物の指定を否定しており、建物を近代化するため一部を取り壊し開発が進んだ。唯一残った当該部分も、ディベロッパーが15〜17年に購入。10階建てタワービルに建て替える計画もあった。市は07年に周辺地区を「アボリショニスト(奴隷廃止論者)プレース」と名付けており、ビル・デブラシオ市長は指定に前向きだ。

グーグルマップのスクリーンショットより

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