グラフィティ消去プログラムを廃止 青息吐息の事業主にさらなる負担

 ニューヨーク市は、グラフィティ(落書き)を消去するプログラムを、市の予算削減に伴い廃止すると発表した。ウォール・ストリート・ジャーナルが19日、報じた。
 このプログラムは「グラフィティ・フリー・NYC」。年間300万ドル(約3億2160万円)の予算で落書きを消し去るもので、市の行政相談窓口ダイヤル、311で苦情を受け付けていた。2017年度には9861件、2019年度には1万4236カ所で落書きを消した実績がある。新型コロナウイルスの蔓延で3月には作業が中止となっていたが、今回、プログラムそのものを廃止する。コロナ禍で財政難に直面する市は「安全、健康、住居および食料確保といった生活に必要不可欠な案件に資源を集中させる」と、市長の広報担当官は説明している。
 これより、グラフィティ消去は建物のオーナーや事業主の負担となる。コロナ禍で青息吐息のところに「もう手に負えない」とクイーンズ区サニーサイド地区でビジネス振興プログラムを推進するジェイミー・フェイ・ビーンさんは音を上げる。市議会で小規模事業委員会の委員長を務める、ブロンクス区選出のマーク・ジョナジ市議(民主)は、「町は家も同様だ。家は一定の美観を保たねばならない」と指摘。地域の改善を実施するワイルドキャット・サービス・コープなどのコミュニティー団体に資金を提供して、落書きを消していくとしている。

写真はイメージ(Photo: Shinya Suzuki)

最新のニュース一覧はこちら

タグ :