容疑者宅から物的証拠見つからず33年前の男児失踪事件

  33年前、マンハッタン区ソーホーのバス停から行方不明になったイータン・パッツ君(当時6歳)の失踪事件で、殺人を自供し逮捕されたペドロ・ヘルナンデス容疑者(51歳)の家宅捜索が8日行われたが、物的証拠などは発見されなかった。米誌ニューヨークポストは、ヘルナンデス容疑者がイータン君の写真上に自分の名前と「私が彼を殺しました」という簡単な自供を書いたと報じているが、この署名は検察側と調査官が容疑者に強要したという証言も出てきた。物的証拠のないこの事件の裏付けがどのようにされるか、今後の裁判の行方が注目される。

 ヘルナンデス容疑者は、イータン君を殺害後、遺体をかばんに入れ近くのごみ捨て場に遺棄したと自供しているが、遺体は発見されていない。検察側はニュージャージー州にある容疑者の自宅からコンピューターや所有物などを押収したほか、容疑者の親戚に聞き込みを続けるなどし、陪審員に説得力ある物的証拠固めに躍起となっている。

 しかし、ヘルナンデス容疑者の妻は容疑者の妄想や幻覚の病気を挙げ、夫の自供を信じていないと語っているほか、弁護側も容疑者の長年にわたる統合失調症などの精神病歴を指摘している。