ペンステーションの改装計画始動 財政問題で疑問の声も

 ロングアイランド鉄道(LIRR)、ニュージャージートランジット、そしてアムトラックの発着駅であるマンハッタン区ペンシルベニア駅(ペンステーション)の改装計画が具体化しつつある。ニューヨーク州都市交通局(MTA)はこのほど、ロサンゼルスを本拠地とする建設会社エイコムと契約を結び、駅の通勤客の流れの効率性改善、外観と内装の改装および商業施設についての要望書を提出した。エイコムは年内にも作成した計画書をMTA側に提示し、最終調整する予定。

 「ペンステーション・ビジョン」と呼ばれるこの改装工事は、グランドセントラル駅のような豪華な造りのランドマークに仕立てるものではない。マディソンスクエアガーデンを頭上に抱え、地下での拡張工事が限られているなか、壁を壊し人の流れを変えたり、照明を改善するなど実用面を重視することになる。

 工事費用は2015年から始まるMTAの資本計画から出資される予定となっているが、コロンビア大学都市計画部助教授のデイビッド・キング氏は、この計画が財政面で不安を抱えていることを指摘。「国のガソリン税減収に伴い、州に割り当てられる歳入が減り、地方債市場も期待薄で、ペンステーションを整備する費用を調達することは簡単ではない」と話す。また改装後、駅利用客が増えるかどうかキング氏は疑問視している。