NY市周辺海域でクジラが増加  水質改善により餌の小魚が増えた影響

 クジラ研究組織や科学者によると、ニューヨーク市周辺の海域で近年、クジラの数が大幅に増加しているという。NBCニューヨークが8日、報じた。
 同地域で観察されたクジラの多くが幼いザトウクジラであるというが、これらが好んで餌とする、群れをなして泳ぐ小魚、メンハーデンの数が、ニューヨークおよびニュージャージー州周辺で増えていることが、クジラの増加の最大の理由と考えられている。
 環境問題の専門家によると、メンハーデンが増加した理由は同地域の水質が改善されたことと、環境保全法が厳格化されたことだという。ニューヨーク市を拠点とする非営利のクジラ研究組織であるゴッサムホエールによると、2019年に合計500頭のクジラを300回以上観察している。11年に5頭のクジラがわずか3回観察されて以来、その数は着実に増加しているという。
 一方、米海洋大気庁(NOAA)の記録によると、2016年以来、大西洋岸のビーチと海域で133頭のザトウクジラが死亡しており、そのうちニューヨークで見つかったのは29頭と最も多かった。クジラの死骸を検査した結果、半数が、船との衝突や漁業用の漁具に絡まるなど、人間に関係する原因であったことが確認されている。
 野生生物保護団体は、クジラと船との衝突を防ぐため、クジラが移動し餌を食べる海域での船の減速を含む新たな法律の施行など、環境管理を呼びかけている。

 

 

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