学期ごとに学費が跳ね上がり、多額の学生ローンを抱えた大卒者が近年、全米で急増している。ニューヨーク州ではことし大学を卒業した61%の若者が、平均2万6271ドルのローンを抱えていることが判明した。
30年前、私立大学の学費は年間平均4113ドルだったが、現在では2万8500ドルに上昇。また909ドルだった公立大学は8244ドルとなり、7〜9倍にまで膨れ上がっている。また、出口が見えない経済不況のなか、就職先を見つけられない若者も増加し、ローンが返済できなくなって自己破産するケースも目立っている。
消費者破産弁護士協会(NACBA)は現在の状況を「学生ローン爆弾」と比喩しており、第二の経済危機を危惧する。だが、94%の親が子どもの大学進学を希望していることも判明している。
40年以上働く場合、大卒者は高卒者より平均65万ドル多く生涯賃金を稼ぐと言われているが、競争が激化する経済状況のなか、大学の卒業資格は必要条件だという考え方は、ますます強まっている。
ローン返済に頭を抱えているのは学生たちばかりではない。学生ローンは自己破産しても免責されないため、その連帯責任を負った50歳以上の親たちが、退職金や財産を崩すケースも増えている。
ことしニューヨーク大学(NYU)大学院に入学するアナ・キャラガンさん(22歳)の場合、卒業するまでに合計7万ドルのローンを組むことになると言い、「今は実感がないが、就職して毎月の給料がローン返済に消えていった時に初めて大変さに気付くのだと思う」と話している。