ニューヨーク市警察(NYPD)はアジア系住民に対するヘイトクライムを取り締まる特捜部を編成したと発表した。特定の人種を標的とする犯罪に特捜部を設けるのは初めて。ウォール・ストリート・ジャーナルが18日、報じた。
コロナ関連のヘイトクライムは23件。1件を除いて全てアジア系住民に向けられている。英語が不得手、公権力への不信といった理由で、アジア系被害者は警察の捜査に対して非協力的だという傾向がある。この特捜部を発案し、統率するスチュワート・ロー警視は、「被害者がアジア系警察官を見たら、家族を思い起こして安心してくれるはず」と狙いを語る。NYPDに勤務する25人のアジア系警察官が必要に応じて参加し、9つの言語で対応できる。すでに、複数の被害者に協力し、犯罪報告書を提出させた。
今年3月には、ブロンクス区を走るニューヨーク州都市交通局(MTA)のバス内でアジア系の女性(51)が4人組の若者から暴行を受けたり、差別的な言葉を浴びせられたりした。この事件で15歳の少女3人が逮捕された。9月にはユニオンスクエア付近で、自転車に乗った男がアジア系男性と友人の女性を差別用語でののしり、自転車やバックパックで攻撃する事件も起きている。この事件で逮捕者は出ていない。