ニューヨーカーの多くが、家賃や学費、食料品、交通費など、急上昇する生活費に充てられるだけの収入が増えず、経済的に厳しい状況に置かれている。
ニューヨーク市会計監査官ジョン・リュー氏の報告によると、市内在住者の2000年の世帯別年間所得平均は5万539ドルだったが、10年では347ドル増の5万886ドルと、物価上昇率と比較すると収入が追いついていないことが分かった。経済誌フォーブスは、ニューヨーク市での生活費は、全米平均より約 30%高いとしている。
同市の物価は年々上昇しており、2000年に853ドルだった平均家賃は、 10年には1004ドルとなった。マンハッタン区だけでは、02年7月は2544ドルだったが、12年には27%上昇し、3461ドルにまで膨れ上がっている。この状況は、49%の市民が収入の30%以上を家賃に充てていることを意味している。連邦基準では、収入の30%以上が家賃で占められる経済状況は危険とするため、多くのニューヨーカーが切り詰めた生活を強いられていることが分かる。
2000年に月額63ドルだった1カ月乗り放題の地下鉄メトロカードも、現在は104ドルまで値上げされているが、今後さらに高額になることが予想される。また、食料品の価格も昨年同比1.4%増となった。
教育費も値上りが続き、年間授業料が4万ドルを超えた私立学校もある。また、ニューヨーク市立大学(CUNY)の授業料は、2000年には2500ドルだったが、現在は4000ドル(市内在住者のみ)に値上げされている。