米地方紙メトロは14日、ニューヨーク市内で環境汚染の深刻な地域を発表した。同紙は米国環境保護庁(EPA)の報告書や環境保護団体への取材を元に独自の調査を実施し、エリアを選別している。
❶ニュータウンクリーク
過去に50以上の石油精製所や石油化学プラント、肥料や接着剤の工場などが人工水路沿いに建設され、殺虫剤・金属・ポリ塩化ビフェニール(PCB)・揮発性有機化合物(VOC)など、大量の有害物質を大気中に放出してきた。さらに、1856年より化学処理を行っていない汚水を水路に流していたことも発覚。
❷ハーレム
市内のバス発着所の90%がセントラルまたはイーストハーレムに所在するため、大気汚染が進行しており、ぜんそく疾患者が多い。
❸アストリア
かつての化学物質処理会社による地下水汚染が一番の懸念。EPAの報告書によると、ニューヨーク州は今後、同エリアの地下水を飲用水として利用することを検討しており、現在も継続的な水質調査が行われている。
❹アーヴィン通り、リッジウッド/ブッシュウィック
ニューヨーク市と州およびEPAが実施した調査で、残留放射線を検知。EPAは昨年9月、住民の健康に対する即座の脅威はないが、長期的な影響が懸念されると発表。通りに会社を構えていたウォルフ・アルポート・ケミカル・カンパニーは原子力爆弾を開発した米原子力委員会のマンハッタンプロジェクトと契約していた模様。
❺サマーフィールド通り、リッジウッド/ブッシュウィック
1900〜50年代に水銀温度計工場として使用されていた建物がEPAの浄化優先リストに含まれている。2011年夏に周辺の大気と土壌から水銀が検出されている。
環境保護団体であるニューヨーク資源保全有権者連盟(NYLCV)のダン・ヘンドリック氏によると、ロングアイランドシティとアストリアにはニューヨーク市内の電力のほとんどを供給する発電所が密集している。
また、人口が急激に増加しているグリーンポイントに接するニュータウンクリークやレッドフック、パークスロープの間を流れるゴワナス運河は歴史的に有害産業廃棄物の処分場となっているため、これらの人工水路沿いにあるエリアは有毒性の高い水質汚染の影響にさらされている。
両地域はいずれも、EPAが極度に汚染度の高い地域を浄化するプログラム、スーパーファンドの優先リストに挙げられている。昨年10月に米東部を襲った大型ハリケーン「サンディ」の洪水被害の影響で状況は更に深刻化しているという。