9万人の雇用を生み、年間20億ドル(約2080億円)を稼ぐブロードウェーの劇場街。この3月に閉鎖して、すでに8ケ月が過ぎた。ウォール・ストリート・ジャーナルが28日、報じた。
エンターテイメントのメッカとして黄金期を迎えたのは1920年代。年間250作品が制作されていた。それが大恐慌で41年には71作品に激減。劇場が使用料を減額するなどして切り抜け、復活した。しかし70年代にはニューヨーク市の凋落と軌を一にする。それを「コーラスライン」や「アニー」といったヒット作が救って、乗り越えた。80年代にはエイズウイルスというパンデミックを体験。2001年9月11日には米同時多発テロが生じ、灯が消えた。それでも2日後、ルドルフ・ジュリアーニ市長(当時)の要請で、ブロードウェーは再開する。近年では、毎年興行収入の記録を塗り替え、破竹の勢いだった。
そこへ、降って湧いたようなコロナ禍。これほど長期間、劇場が閉鎖したのは初めてだ。コロナ前のようにチケットを高額に設定することはできないかもしれない。手頃な値段で楽しんでもらい、しかも興行として成功する新しいビジネスモデルを構築することが必要となるかもしれない。それでも、必ず幕は再び上がると劇場関係者は信じている。ブロードウェーの歴史は、カムバックの歴史だからだ。