マンハッタン区地方検察局は、残業手当を詐取していた疑いで、ニューヨーク州都市交通局(MTA)の現職員や元職員5人を逮捕・起訴した。ニューヨークタイムズが3日、報じた。
例えば、トーマス・カプト容疑者(56)はロングアイランド鉄道の上席保線係だった2年前のある日、マンハッタン区のウエストサイドヤードで午後4時から翌朝7時まで働いたとして、15時間の残業手当、1217ドル(約12万6000円)を請求した。ところが職場から55マイル離れたロングアイランドのパチョーグでボーリングをしていたことが判明した。同被告は2019年に退職したが、18年の年俸は46万1000ドル(約4800万円)と、MTA職員の中で最も高額だった。このうち34万4000ドル(約3580万円)が残業手当。毎日10時間の残業をしていた計算だ。同様の手口で、ニュージャージー州のアトランティックシティで豪遊していたことが明らかになった容疑者もいる。
オードリー・シュトラウス暫定検事は「肉体的限界を超えた残業時間を申告していた」と指摘。捜査に当たった連邦捜査局(FBI)のニューヨーク事務所長、ウイリアム・スウィーニー氏は「このような犯罪行為が、負債を拡大させMTAの料金を引き上げている」と語った。
容疑者は有罪が確定すれば、最長10年の禁固刑に処せられる可能性がある。カプト容疑者の弁護士はコメントの求めに応じていない。