米連邦裁判所は5日、米食品医薬品局(FDA)に対し、緊急避妊薬(モーニングアフターピル)の処方に関する年齢制限を撤廃するよう命じた。同規制緩和により、17歳未満の未成年者も性交後72時間以内に服用する緊急避妊薬を、処方箋なしに街角の薬局で入手できるようになる。
FDAは2011年にも処方箋や年齢制限なしで緊急避妊薬を提供できるように準備をしていたが、米保健福祉局のキャスリーン・セベリウス長官により同案が却下されていた。だが、訴訟を起こした性と生殖に関する権利センターは、「同決定は緊急避妊を妊娠中絶と同等と見なす政治的動機が働いており、科学的に未成年者に及ぼす危険性が証明された訳ではない」と訴えていた。
判決を下したニューヨーク州地方裁判所のエドワード・コーマン判事は、「緊急避妊薬は薬局で入手できる薬の中でも安全性の高いものであり、未成年者による誤使用のリスクは立証されていない上に、11歳の女児が使用する確立は極めて低い」と指摘した。
市民の権利保護パートナーシップ基金の弁護士は、同判決を女性の安全のための「画期的な勝利」と称賛した。
米政府が控訴するかどうかは不明。FDAは、同規制緩和を実施するのに30日の猶予がある。
緊急避妊薬は、避妊なしで性交したとしても、その後72時間以内に服用すれば、望まない妊娠を未然に防ぐことができるとして、強姦被害に遭った女性や女性の権利向上という面などから注目されていた。