燃料供給システムの対策急務 サンディの教訓生かせるか

 昨年10月、巨大ハリケーン「サンディ」に襲われた米東海岸の各地域では、石油やガソリンなどの燃料供給をめぐって大きな混乱が生じた。6カ月が経過した現在、新たなハリケーン襲来に備えて燃料供給システムを強化するため、さまざまな企業や州政府組織が対策に追われている。

 ニューヨーク州およびニュージャージー州では昨年、サンディ襲来後に海上の堆積物が原因で石油タンカーが足止めされた。また浸水や停電により製油所、パイプライン、貯蔵施設が操業を停止するなど、燃料の輸送機能がほぼ麻痺し、そのもろさを露呈する形となった。さらに、給油所の6割以上が停電やガソリン不足のため供給を中止し、市民の生活にも大きな影響が出た。

 これを受け、貯蔵ターミナルや製油所などの複数の施設が防水壁を高くしたり、地上に設置していた電線や電気機器を高所に移動するなどの対策を進めている。またニューヨーク州は、緊急時用の発電機の設置を各施設に義務付けることを決定し、リースのための助成金提供の準備も進めている。
 さらにことし2月にトライステートエリアが吹雪に見舞われた際には、多くの人が事前にガソリンや食料を補給する姿が見られ、市民レベルでの防災意識も高まっていることが伺える。

 しかし一方で、州政府組織による主導が本格化していないため、統一した大規模な防災対策の実現には至っておらず、再び大型ハリケーンに襲われた場合に、両州の燃料供給システムがどのような影響を受けるかについては未知数のままだ。