米NBCの情報番組「トゥデイ」の収録現場で6日朝、一般男性が刃物を取り出して自分の両手首を切りつけ、見物人で賑わっていた現場は一時騒然となった。男性は直後に身柄を確保されて病院で治療を受け、命に別条はないという。
事件が起きたのはマンハッタン区のロックフェラーセンターでの生放送収録中で、同番組の司会者マット・ロウアーさんとサバンナ・ガスリーさんがガラス張りの撮影施設の中で収録を行っていた。
目撃者によると、午前8時過ぎに手に書類の束を持った男性が突然現れ、「IRS(内国歳入庁、米国の税徴収機関)が私の人生を踏みにじった」と叫んで書類を見物客の一人に押し付けた後、取り出した刃物で自らの両手首を切りつけたという。男性はすぐに番組の警備係に取り押さえられた。
米紙デイリーニューズの報道によれば、男性は中国系移民のパク・チョン・マーさん(76歳)。入院先の病院で同紙の取材に応え、「株の取り引きで稼いだ大金をIRSに不正に奪われた」と語り、今回の騒ぎの動機については、「IRSは強大な力を持っている。人々の目を引くようなことをしなければ、彼らと戦うことはできないと思った」とした。
一連の騒動は番組のカメラには撮影されなかったため、事件の様子が視聴者の目に触れることはなかった。情報筋によると、けがをしたのは本人のみだったため、パクさんが刑事責任を問われる可能性は低いという。