ベッドバグと闘うニューヨーカー 被害通報が3割減

 過去数年間にわたり「ベッドバグ(南京虫)」の大量発生に悩まされてきたニューヨーク市だが、被害の通報件数が過去1年で大幅に減少したことがこのほど、明らかとなった。
 同市住宅保全開発局の発表によると、2012年7月から13年4月にかけての被害通報は9233件で、前年より3907件少なかった。また、アパートなどの建物で実際にベッドバグが確認された件数は2659件で、10年度と比較して2149件の減少となった。ニューヨーク市では05年以降、高級ホテルから低所得者用住宅、市バス、映画館に至るまでさまざまな場所でベッドバグが大量発生し、市は対策委員会を設置するなど対応に追われてきた。
 専門家は今回の発表について、市の公式情報サイト(nyc.gov/bedbugs)を設けるなどして市民の知識向上を図ったことに加え、マットレスの廃棄時にビニールシートでの梱包を義務付ける条例などを導入したことが、被害の減少につながったと分析している。
 またある駆除業者は、「依頼は減っていないが、非常に深刻なケースは少なくなっている。業者間で蒸気や熱、殺虫剤などを使った共通の駆除方法が確立されたことも、作業の効率化に役立っているのではないか」と話している。
 しかし別の専門家によれば、アパートの大家やホテル経営者などの意識向上と早期の駆除実施により通報件数は減ったものの、高齢者や精神障害を持つ人など、知識や対応策を持たない市民の間では以前よりもさらに深刻な被害が続いていることが考えられるという。