市の詐欺被害を見過ごしに 市長候補の過去明らかに

 次期ニューヨーク市長選挙への出馬を表明している民主党のビル・トンプソン氏(民主党)が、過去に同市の会計監査役を8年間にわたり務めた際、予算拡大を求める虚偽の申請に対して繰り返し承認を与え、市の予算14万5000ドルを騙し取られていたことが、このほど明らかとなった。
 同市は2002年、市職員の給与管理システムの効率化と節約を目的とした「シティタイム」プロジェクトを開始。プロジェクト管理者らは始動直後から、より高価なソフトウェアが必要などとして繰り返し予算の拡大を申請し、当時の会計監査役であったトンプソン氏は十分な審議を行うことなくこれを承認していた。
 ところが、後任のジョン・リュー氏が10年以降に調査を行った結果、同プロジェクトに参加していた外部のコンサルタント数人が、契約終了後も数週間にわたって報酬を受け取っていたことが判明した。この詐欺行為による被害は14万5000ドルに上るとされる。
 トンプソン氏が会計監査官を務めていた2002年〜09年、600回以上にわたる監査が行われていたが、同プロジェクトの予算内容は一度も審議対象にならなかった。また内部情報筋によれば、同氏はプロジェクト運営委員会の予算修正案に対し、詳細の説明を一切求めずに承認を与えていたという。
 トンプソン氏の広報はこれについて、「(詐欺被害防止のために)もっとできることがあったのは事実だが、市長や市議会、予算委員長にも同様に責任がある」とコメントしている。
 なお、ニューヨーク市はリュー氏による調査後、元コンサルタントらを刑事告発している。