ニューヨーク市にあるイェシーバー大学付属高校の元生徒ら19人が8日、同校で20年にもわたって生徒に対する性的迫害が行われてきたとして、学校側と元教師らを訴えたことが分かった。元生徒らは損害賠償として、3億8000万ドルの支払いを求めている。
原告らによれば、ユダヤ教正統派系である同校では1969〜89年の20年間にわたって、生徒に対する性的暴力が頻繁に行われていたという。原告の一人は、当時教師だったマーシー・ゴードン被告に歯ブラシを使って強姦されたうえ、ホロコーストの生存者だった両親に「これ以上つらい思いをさせないために」黙っているよう口止めされた体験を赤裸々に語った。
また、当時校長だったジョージ・フィンケルステイン被告も、生徒に性的暴力をふるっていたとされる。両被告はユダヤ教の宗教指導者にあたる「ラビ」でもある。
訴えによると、同校は性的迫害の事実を把握しながらも、学校の評判が落ち資金繰りができなくなることを恐れてこれを無視し、一切対策を行わなかったばかりか、両被告を優良教師として表彰していたという。
原告を代表するケビン・マルハーン弁護士は、「学校側は、教師らが性的暴力の加害者であることを知りながら、学校内で次の被害者を好きなように探させていた」と訴えている。
原告らは、同校で受けた精神的苦痛がもとで、卒業後も薬物中毒やアルコール中毒などの障害に陥ったとし、学校側に損害賠償を求めている。
10日には、別の元生徒5人も同様の内容で、同校の教師を訴えている。