ニューヨーク市のIT関連企業の多くはこれまで、マンハッタン区のユニオンスクエアやフラットアイアン、チェルシーなどの地域を中心に事務所を構えていたが、近年の不動産賃貸料の上昇を受け、より低価格でオフィススペースを借用可能なタイムズスクエア周辺に事務所を移転する企業が増加しているようだ。
不動産関連の情報を提供するコスター社によると、ユニオンスクエア周辺の賃貸料は1平方フィート65ドル、ミッドタウン東は67ドルであるのに対し、タイムズスクエア周辺は44〜61ドルと比較的安い設定になっているという。
また同地のプロモーションを行う非営利団体、タイムズスクエア・アライアンス(TSA)は、過去19カ月間に同地周辺で行われた不動産取引の87%がIT企業によるものだったのに対し、それ以前の18カ月間で行われた取引はわずか18%だったと発表している。
特に、ITベンチャー企業はタイムズスクエア地区の中心部ではなく、周辺4、5ブロック内で魅力的な物件を見つけているようだ。同地の混雑を避けることができる上に、築30年ほどの建物が多く、高い天井、広いフロア、大きい窓、コンクリートの床といういわゆるITベンチャー企業が好む屋内設計が多いのが特徴だという。
TSA会長のティム・トンプキンス氏は、「同地はミッドタウン東よりも手頃で、ハドソンヤードよりも交通の便が良い。数多くの巨大電光掲示板が集まる同地は、これまでも常にテクノロジー産業とつながってきた」と語る。