第20回 Devi | DAILYSUN NEW YORK

第20回 Devi

07/25/2013

フレンチ？イタリアン？　いいえ「インド料理」です

　ニューヨークの街には世界中から人が集まり、さまざまな言葉が飛び交い、あらゆる国の料理を口にすることができる。「エスニック料理」と呼ばれるタイ、インド、ベトナム、韓国、中東、メキシコなどのスパイシーな料理も実にたくさんあるのだが、フレンチやイタリアンに比べると、なかなか素敵なレストランを見つけられない…という人も多いのではないだろうか。

　そんな中でも「インド料理」と言えば、マンハッタン区のマレーヒルやクイーンズ区のジャクソンハイツが有名だが、「〝行ってみたい〟と思えるレストランがない」「安いだけじゃね…ホントにおいしいの？」といった声もよく耳にする。週に４日開かれるグリーンマーケットとお洒落な若者が闊歩する街、ユニオンスクエアの駅から歩いてすぐのところにある「Devi」は、そんな不安を全て取り除いてくれる。

　２００５年にオープンし、あのミシュランでニューヨークでインド料理レストランとして初めての星を獲得。多くの著書を手掛けた料理家のスビール・サラン氏が考案した当時のメニューを残しながら、常に新しい感覚の料理・店づくりに挑戦し続けている。

　インド料理のイメージと言えば、「カレー」に「スパイス」だが、同店のメニューにはその枠を超えたインディアン・キュイジーヌともいうべき風が感じられる。まず、テーブルに運ばれる食器のセンスとその一皿一皿に表現された世界観に息を呑む。フレンチやイタリアンを思わせる洒落たプレゼンテーションに思わず感嘆の声を上げ、それを口に運んでまたさらに驚くことになる。素材の味を存分に堪能できる抑えた味付けの中にも、深みとまろやかさを感じる。そう、インド料理をここまで進化させ、納得させる実力はただものではない。

　独特の雰囲気の照明やカーテンで彩られた店内は、刺激的でエキゾチックだ。大切な人とのふたりきりのデートはもちろん、女子会にも使える。こんな店を知っていると、ニューヨークがますます楽しくなる。