ニューヨーク市警察庁(NYPD)が実施する「ストップ・アンド・フリスク」と呼ばれる捜査方法に関する集団訴訟で、米連邦地裁は12日、同捜査を憲法違反とし、制度改正を求める判決を下した。
ストップ・アンド・フリスクは、警官が路上で不審者とみなした市民らに職務質問をし、武器や違法薬物を所持していないか身体検査を行うNYPDの捜査方法で、捜査令状がなくても実施することができる。実際に呼び止められるのは黒人やヒスパニック系などの有色人種の男性が多いことから、原告団は同捜査が合衆国憲法の定める平等権に反し、人種差別を助長するものとしてNYPDを訴えていた。
連邦地裁のシンドリン判事は判決の中で、「同捜査は憲法で定められている人権を犯すもの」と訴えを認めた上で、「ストップ・アンド・フリスクの全廃を命ずるものではない」とし、制度改正を求める姿勢を強調した。
また同判事は、「(ストップ・アンド・フリスクによって)警察当局が市民の権利と自由を侵害することなく、必要な治安保護を提供することが目標。人種や年齢などの漠然とした理由だけで市民を身体検査の対象とすることは、今後あってはならない」とした。
制度改正の監視役には、元ニューヨーク市法律顧問のピーター・ジムロス氏が指名された。
原告団によれば、これまでに同捜査の対象として呼び止められた市民のうち85%が、市の人口のおよそ半数に過ぎない黒人やヒスパニック系だったという。
だが同日、NYPDのレイ・ケリー長官と共に記者会見を行った同市のマイケル・ブルームバーグ市長は、「この捜査の実施により、市の犯罪発生率は歴史的低水準に改善した。制度改正により市民を再び危険にさらすことは許されない」と述べ、上訴する意向を表明した。