偽バス運転手に有罪判決 起訴29回、「強い憧れ」動機

 職員を装ってニューヨーク市の地下鉄やバスを運転するなどして、過去30年間で29回にわたり起訴された経歴のある男が15日、懲役5年の有罪判決を受けた。男は鉄道やバスの操縦に強い憧れを抱いており、幼少期から公共交通機関に勤務することを夢見ていたという。
 今回、有罪判決を受けたのは、クイーンズ区在住のダリウス・マッコラム被告(48歳)。最近のケースは、2010年にニュージャージー州ホーボーケンのトレイルウェイズ・バス発着所からバス1台を盗み、ニューヨーク市クイーンズ区のジョン・F・ケネディ(JFK)国際空港へ向けて走行したというもの。マッコラム被告はこれまでにも職員用の制服を着用して身分を偽り、乗客を乗せた地下鉄やバスを無断で運転した罪で28回起訴されていた。
 担当弁護士によると、同被告は自閉症の一種であるアスペルガー症候群と診断されており、判決では釈放と同時に交通機関への強迫観念的な固執に対する治療を受けることも取り決められた。
 また同被告はこれまでに既に3年間服役していることから、収監から数週間で仮釈放の審議を受ける可能性も高いという。
 担当弁護士によれば、マッコラム被告は幼少時にいじめられて地下鉄の車両に隠れた経験をきっかけに、特にニューヨーク市の地下鉄に強い思い入れを抱くようになったという。さらにAP通信社の取材に対し、「8歳の時には地下鉄マップをすべて暗記していた」と言い、公共交通機関に勤務することを懇願していたという。
 同弁護士は、「できるだけ早く仮釈放審議を受けて刑を終わらせ、依頼人の社会復帰に向け準備を進めたい」としている。