ニューヨーク市では、家庭から出た一般ごみを市内各所に設置された公共ごみ箱へ持ち込む行為を禁止し、違反者には罰金を科しているが、最近は違反切符の発行件数が大幅に減少している。
市では違反者に対し、100ドルの切符を発行しているが、6月30日までの2013会計年度に発行された切符はわずか922件で、前年度の4185件から78%減少した。
市衛生局はこの傾向について、ハリケーン「サンディ」後、同局の取締係の多くが別の任務へ転任したためと説明。労働組合の調べによると、ごみ投棄の取締係は一年前に比べ200人以上も少なくなっているという。
だが、違反切符の発行件数と違反行為の減少は比例していないのが現実で、市内の路上に設置された2万5000個の公共ごみ箱への不法投棄は一向に減る気配がない。
こうした不法投棄の中には、中小規模の民間企業も含まれており、事業経営者がごみ引き取りの際に市側へ支払う手数料を回避しようと、路上のごみ箱へごみを投棄するためとみられている。
ごみ取締係が違反切符を切るためには現行犯を捕まえることが条件だが、昨今の人員不足により現場を取り押さえるのはきわめて困難だという。
不法投棄のごみを発見した場合、取締係はそのごみの中にある郵便や雑誌の宛名から所有者を割り出すこともあるが、その場合も本人に警告を出すことしかできないのが現状だ。