2004年にニューヨーク市で共和党大会が開催された際に、約1800人の抗議デモ参加者や報道関係者が逮捕されたことに関して、市民が市を提訴していた裁判で、ニューヨーク市が合計約1800万ドルの補償金を支払うことで合意した。
大統領選前に行われたこの大会では、ブッシュ前大統領の再選に憤慨した多くの市民や活動家が会場近くで反対運動を行った。
原告団の中心となったのは、大手テレビ局HBOでドキュメンタリーを制作しているマイケル・シラー氏で、大会会場付近でデモ隊を撮影しようとしていたところを警察に捕えられた。
シラー氏は当時の状況について、「警察はオレンジ色の網を広げて人々を拘束し、仮設留置所へ連行した。そこは古いバス倉庫に設置されており、床はバスから漏れた油などで覆われていて、とても不衛生な状態だった。非常に混み合い、人々は皆、油で真っ黒になった」と証言している。
今回の訴訟は、ニューヨーク市自由人権協会がシラー氏を含む複数の市民を代表し、「逮捕は憲法で保証されている基本的人権を侵害するもの」として、ニューヨーク市を相手取り起こしたもの。
これに対して市および市警察庁(NYPD)は、逮捕は憲法にのっとったもので、反対運動の過激化を防ぎ、秩序を維持するために取られた措置だったと反論していた。
この体験をもとに「アフター・パーティー」というドキュメンタリー作品を制作したシラー氏は、「今回の判決は民主主義、言論の自由、報道の自由の勝利だ」とコメントしている。