世界をつなぐ サイトに成長 フェイスブックが創立10周年

 ソーシャル・ネットワーキング・サービスのフェイスブック(FB)は3日、設立から10年を迎えた。ハーバード大学の2年生だった現CEOのマーク・ザッカーバーグ氏(30歳)が学生間の交流を目的として生み出したFBは、わずか数年の間に世界中の人々のコミュニケーション方法を大きく変えることとなった。
 2012年には上場を果たし、いまや社員6337人、企業価値1500億ドルの大企業となったFBだが、これまでの道のりは決して平坦ではなかった。
 04年の設立以来、対象年齢を広げるなど順調にユーザー数を伸ばし続けたものの、07年には英語圏での利用者が頭打ちとなった。しかしその後、ユーザーからボランティアの翻訳を募る形で多言語への対応を進め、08年にはユーザー数1億人を達成。日本語サイトのプロフィール欄には血液型の表示を取り入れるなど、多様な文化に対応したローカライズも積極的に行った。
 さらに、インターネット機器のモバイル化も課題となった。07年には初代の携帯用アプリをリリースしたが作動が遅く、投資家の不安を呼んだ。しかし改善を続けた結果、現在では広告収入の大半がモバイル機器を通したものになっている。
 こうして世界最大のインターネット企業のひとつとなったFBだが、同社の海外戦略担当のハビエル・オリバン氏は今後の課題について、「いずれは、読み書きができない人々への対応という大きな問題に直面するだろう。業界全体が、今後10年間でこの問題に取り組む必要がある」と説明する。
 さらに、スマートフォンなどのモバイル機器の価格上昇も大きなハードルとなりつつある。これに対応するため、FBは11年、低価格の携帯電話でもFBの主要な機能を利用することができるアプリ「FB for Every Phone」をリリース。毎月1億人以上の人が同アプリを利用している。
 また昨夏には、インターネット接続環境の普及を目的とした新団体「Internet.org」を設立するなど、ユーザーの基盤拡大に向けたさまざまな試みを行っている。
 FBのユーザー数は、現在12億3000万人。これは、世界人口の約17%にあたる。ザッカーバーグ氏は3日、自身のFBページに「ここまで成長することを、最初から予期していたのかと聞かれることがある。もちろん、答えは『ノー』だ。FBを始めてすぐ、大学の友人とピザを食べながら『学内の人々をつなげることができ、とてもわくわくしている。でも、いつか誰かが世界中の人々をつなげるような仕組みを作らなくてはいけない』と話したことを覚えている」と綴った。