平日午後7時、常連客で満席──
この店のフィッシュ・スープは食すべき!
1989年6月、母と娘が開いたフレンチ・ビストロが、アッパーイーストのレキシントン・アベニュー沿いにある。母のリタイア後は、娘のパメラ氏とその夫でありシェフでもあるクリスチャン氏が、オーナーとしてこの店を守っている。この辺りには、さほど大きくはないが洒落たレストランが軒を連ねている。65席の「セル・エ・ポワーヴル(Sel et Poivre)」も、落ち着いたダークな色合いのインテリアとセンス良く壁に掛けられたモノクロの写真たちが印象的な店だ。
前日の雪がまだ通りに残る、凍りそうに寒い火曜日の夜7時──店内は、すでに満席だった。老夫婦や女性客の二人組、落ち着いた家族連れ。30代とおぼしきカップルが一番若い。美味しい食事と寛いだ時間を楽しめるからだろう、顧客は常連や近隣に暮らす人たちがほとんどで、若者の騒がしい嬌声や観光客とは無縁の世界。これは、かなり期待できそうだ。
最初にテーブルに運ばれて来たレッド・スナッパーをベースにした「Fish Soup」(8・75ドル)で、その期待はすぐに確信に変わった。スープにフランスパンを浸し、そこにサフラン、ガーリックなどで作られた特製マヨネーズとチーズを入れ、トロトロになったフランスパンと共に口に運べば、もう唸るしかない。深みと旨味が凝縮されたこのスープを表現する言葉が見つからない。
ピリッとしたアボカドのムースと食べる新鮮なロブスター「Cold Lobster Salad with Avocado Mousse and Grapefruit Coulie」(16・95ドル)はドライな白ワインと、プチプチと弾けるレンズ豆と楽しむホームメイドの豚肉ソーセージ「Grilled Garlic Sausage with Warm Lentil Salad」(8・95ドル)は重厚な赤ワインと、ぴったり。
外はパリッと焼かれたバターとレモンのソースの白身魚「Skate Fish with Lemon, Capers and Served with Basmati Rice」(19・95ドル)は、軽いけれど贅沢な味に仕上げられている。
常連客が次から次へとやって来ては、今空いたばかりの席を埋めて行く。この店の席がいつも埋まっている理由は、「ソルト&ペッパー」という店の名前どおり、シンプルだけど飽きのこない美味しい一皿を、毎日作り続けているからに違いない。
Sel et Poivre
853 Lexington Ave(bet 64th & 65th St)
212-517-5780
www.seletpoivrenyc.com■営業時間
ランチ :月~金曜日 12pm~4pm
ディナー:月~木曜日 4pm~10:30pm
金・土曜日 4pm~11pm
日曜日 4pm~10pm
ブランチ:土・日曜日 12pm~4pm