ニューヨーク市の「地ビール」産業が急成長している。調査会社が発表したデータによると、市内の小規模ビール醸造所による2012年の雇用は213人で、09年から16%増と急増したほか、賃金の合計は30%増となる600万ドル強だったことが分かった。
さらに、ニューヨーク屈指の人気地ビール醸造所のひとつであるシュマルツ・ブリューイングの創立者で、ニューヨーク市地ビールギルド(New York City Brewer’s Guild)社長のジェレミー・コーワン氏によれば、昨年も新たな醸造所が続々とオープンしたという。
「小規模な醸造所は苦戦しているのが現状だが、新規参入が相次いでいるのは地ビール産業が好調な証。厳しい環境にあっても、リスクを恐れず投資する気概のある経営者が多い」とコーワン氏は説明する。
この傾向はニューヨーク州全体についても言えることで、同州醸造所協会によれば、地ビール産業が州内の経済に与える影響は22億ドル規模で、全国第3位の水準だという。
また州レベルでは、13年に同産業(醸造、流通、小売りを含む)が創出した雇用は約6万2000件に上る。
急成長の一因となっているのが、12年にアンドリュー・クオモ知事によって可決された新州法だ。これは、小規模醸造所が州内で生産された材料を使うことを奨励する内容で、農業と観光業の拡大を目的としている。この結果、州内で開催される地ビール関連のイベントが10年からの3年間で56%増加するなど観光業にとっても好調で、地ビールがその主力のひとつとなりつつある。
ニューヨーク市では21日から3月2日まで、「NYCビール・ウイーク」が開催されている。