ベトナム、対立一変も続く苦しみ

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共同通信

 【ハノイ共同】米軍がベトナム戦争中に初めて枯れ葉剤を散布してから10日で60年となった。健康被害の苦しみは今も続き、ベトナム首脳は被害者を励ます書簡を公表、国際社会の理解を求めた。中国の強大化を背景に米国はベトナムに接近し、かつての対立の構図は一変したが、米国はベトナム人の健康被害の責任をいまだ認めていない。

 米軍は1961~71年、密林を拠点とする南ベトナム解放民族戦線の活動を抑え込もうと、猛毒ダイオキシンが含まれた枯れ葉剤を大量にまいた。散布地域ではがん患者が増え、先天性異常児の出産が多発。被害者は子どもや孫、ひ孫の世代も含め300万人以上とされる。