近年ニューヨーク州では、エンターテインメント産業の好調が目立つ。非営利団体ミルケン・インスティチュートがこのほど発表した最新の調査で、長年エンターテインメントの聖地として君臨してきたカリフォルニア州を追い越す可能性も出てきていることが分かった。
好調の要因となっているのが、ニューヨーク州が実施している税控除制度と奨励金制度だ。調査によれば同州では、映画やテレビ番組の制作に関わる企業に30〜35%の税額控除と年間約4億2000万ドルの助成金を提供しており、この結果、2004年から12年の間に、同業界の雇用率が25%も増加した。
また制作後の編集作業についても、ニューヨーク州は税控除を10%から30%に引き上げるなど積極的に誘致を行っている。この控除は、州外で撮影された作品の編集業務にも適用されている。
これに対しカリフォルニア州の映画・テレビ番組制作業への税控除は、予算7500万ドル以下のプロジェクトにのみ適用され、還付額も20〜25%に留まっている。これはニューヨーク州のわずか25%にあたり、同産業全体における雇用は04年〜12年で11%(1万6137件)も減少している。
カリフォルニア州では主要産業の一つであるエンターテインメント産業を盛り上げようと、これまでに多くの優遇措置案が提出されているものの、ジェリー・ブラウン州知事は消極的な姿勢を示しており、成立には至っていない。この結果、多くの雇用創出が見込める1時間のテレビ番組の制作などがニューヨーク州に流出し続けている。
最近では、人気テレビ番組「トゥナイト・ショー」の撮影拠点がロサンゼルス市からニューヨーク市に移された。
カリフォルニア州からニューヨーク州へのエンターテインメント産業の流入は、今後も続きそうだ。