乾燥パスタで知られるイタリア食品大手のバリラがこのほど、マンハッタン区ミッドタウンに直営レストラン「アカデミア・バリラ(1290 Avenue of the Americas, NYC)」をオープンした。だが、同社会長が同性愛者に対する差別とされる発言をしたことから、ゲイにオープンな街として知られる同市での集客が危ぶまれている。
同社のグイド・バリラ会長は昨年9月、イタリアのラジオで放送されたインタビューで、「わが社は自社の広告に、絶対に同性カップルの家族を使わない。同性愛者がそれが気に入らないというなら、他社の商品を買えば良いことだ。バリラにとって、神聖な家族という概念は、もっとも基本的な企業理念のひとつであり続ける」と発言し、同性愛者の人権保護活動家らが同社製品のボイコット運動を呼び掛けるなど、激しい批判を浴びた。
同会長はその後、公式に謝罪し、イタリアや米国のLGBT活動家と会談するなどして、「今後は新しい家族の在り方について学んでいく」と語っている。
また同社は会長の謝罪後、同性愛者の人権保護団体であるタイラー・クレメンティ基金への支援を決定したほか、多様な人材の活用に向けて新たな役職を設置するなどして対策に当たっている。
レストラン経営についてバリラは、今後ブライアントパークやヘラルドスクエアでの支店オープンを検討するなど、さらなる展開に意欲を見せているが、同性愛者の人権に敏感なニューヨーカーがどのように反応するか、今後の動向が注目される。