ニューヨーク市では、毎日何百万もの人々が市の公共交通機関を利用しています。2015年には、平日における地下鉄の平均利用者数は570万人で、1948年以来最高記録となりました。
しかし、利用者が増加したことにより、駅のプラットホームや階段、エレベーター、エスカレーターなどでの事故も増え、100万人中3人が負傷したと推定されています。駅や電車の中で事故に遭い、けがをした場合、治療費や苦痛に値する金銭的補償を受け取ることができます。
ニューヨーク市交通局(NYCT)は、負傷者への補償金に数億ドルを支払っています。2010年には、ユニオンスクエア駅で事故に遭った男性に1千万ドル(約11億4千万円)を補償しました。その男性は4番線の電車とプラットホームの間に落ちたと訴えました。救出される前に、可動式のプラットホームがその男性に167回ぶつかったそうです。また、14年には階段で事故に遭った女性に1600万ドル(約18億3千万円)を補償しました。女性は階段で滑った際に頭部と股関節を打ち、脳の出血と腰部の痛みはそのときのけがが原因だと診断されました。女性はその後、頭部のけがによる発作に苦しみ、脳の損傷から話す能力を失い、車椅子生活を余儀なくされました。
そのほかの鉄道事故では、1991年8月28日、10両編成の4番線急行電車が乗客216人を乗せ、制限時速10マイル(約16キロメートル)をはるかに上回る時速50マイル(約80キロメートル)の速度でユニオンスクエア駅のホームに進入した結果、電車は脱線し、5人が死亡しました。運転士は負傷しませんでしたが、飲酒していたことが発覚し、実刑判決が下されました。
市の地下鉄史上最悪の事故は、1918年11月1日に、ブルックリン区のプロスペクトパーク付近の地下鉄で起こりました。時速6マイル(約9.7キロメートル)で走行するように速度制限が定められたカーブを、時速30〜40マイル(約48〜64キロメートル)で走行したため電車は脱線し、93人が死亡しました。
市内の地下鉄利用時にけがをした場合、NYCTに90日以内に連絡しなければなりません。けがをした場合、すぐに弁護士に連絡することをお勧めします。
Steven W. Epstein スティーブン・エプステイン弁護士
ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロースクール卒。18歳から法律事務所で働き始め、2003年まで弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当。04年に独立し、「Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所」を設立した。取扱い業務は、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)、刑事訴訟など、多岐に渡る。また、NY市行政裁判所にて非常勤審判官も務めている。
Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所
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