軽犯罪が重罪招く可能性も NYPD、無賃乗車の取締強化


 ニューヨーク市の地下鉄やバスでは無賃乗車が横行しているが、軽犯罪を取り締まることにより凶悪犯罪が減少するという「割れ窓理論」を採用するニューヨーク市警察庁(NYPD)は、無賃乗車を単なる2.50ドルの窃盗として片付けず、より深刻な犯罪につながる可能性を懸念し、重要視している。
 市の地下鉄では、ことしに入ってから3月末までの間に7127人が無賃乗車で逮捕されている。同数値は昨年同時期比2%減。また2013年は2万8000人以上が逮捕され、交通警察による総逮捕者5万1327人のうち半数以上を、無賃乗車が占めた。
 一方、バスについては昨年の同時期では87人が逮捕されたが、ことしは過去3カ月で昨年1年間の433人の約半分にあたる209人がすでに逮捕されている。
 NYPD交通課のジョセフ・フォックス課長は2日、「無賃乗車をする者は、別の犯罪に関わる傾向が高い」とし、「これを取り締まることで、重大な犯罪の減少に重要な役割を果たす」と指摘した。
 クイーンズ区のアケダクト競馬場駅では先週、運賃を支払わずに改札をくぐった16歳の少年が警官を殴る事件があり、3月初旬にも、無賃乗車の男女を呼び止めた警官が、殴る蹴るなどの暴行を受けている。
 また2月末にはバスに飛び乗ろうとした2人の男を呼び止めた警官が足に銃弾を受けたが、発砲した男は違法薬物のディーラーで、指名手配中だったことが判明している。