退職年金の積立金が不足 州と地方自治体が14億ドル借入

 ニューヨーク州政府や地方自治体が、退職年金の積立金支払いに充てるため、14億ドルを借入していたことがこのほど、明らかとなった。
 州会計監査官トーマス・ディナポリ氏の予算記録によると、161億ドルの州の年金基金への借入額が、昨年より22%増加しているという。2010年に同氏が、また昨年にアンドリュー・クオモ知事が実施した借入制度で、州は9億3700万ドル、地方自治体は4億7200万ドルをそれぞれ借入している。借入金と利息は今後12年間かけて返済されるという。
 こういった借り入れが不均衡な予算とみなされ、各信用格付け会社では、州内の地方自治体の格下げを行っている。信用格付け業者ムーディーズ・インベスターズ・サービスは昨年11月、これまでトップランクだった高級住宅街として知られるウエストチェスター郡を格下げした。同郡はことし、4350万ドルを借り入れし、過去4年で14%の人員削減を行った。
 同社はまた、ことし3月にはサフォーク郡を格下げし、先週はロングアイランドのヘムステッドをトップから格下げした。
 09年まで18カ月続いた景気後退により、州や地方自治体は多額の投資損失を出し、全米の各都市は巨額の年金積立金不足問題に直面している。12年には退職金支払額と利用可能な基金との差額が、全米で1兆ドル以上にまで膨れ上がっている。