イスラム系住民への監視を打ち切り NYPD、批判受け

 ニューヨーク市警察庁(NYPD)は15日、テロ対策の名目で秘密裏に実施していたイスラム教徒に対する捜査を、中止することを明らかにした。同捜査は長年、人権団体などから批判を受けていた。
 同捜査では、イスラム教徒の間で「人口統計ユニット」と呼ばれていたNYPDの特別捜査部隊が一般市民になりすましてニューヨーク市内外の各地域に潜入し、イスラム教徒の職場や礼拝所、買い物場所などのデータベースを作成。日常的な会話を盗聴したり、礼拝所の説法の内容を記録したりしていたとされる。
 ことし初めにNYPD本部長に就任したウィリアム・ブラットン氏は、今回の捜査中止を皮切りとして、米中枢同時テロ後に情報収集を目的として開始されたさまざまな捜査方法からの方向転換を行う方針を打ち出している。
 私服警官によるイスラム教徒への捜査については、これまでに2件の訴訟が起きており、人権保護団体などからは非難の声が上がっていた。
 また、連邦捜査局(FBI)の某幹部は、この捜査によってイスラム教徒の間で法執行機関に対する不信感が生まれ、米国の国家安全保障に悪影響を及ぼしたとして、NYPDを批判していた。