観光用馬車の存続訴え 地元紙が署名活動開始
ニューヨーク市のビル・デ・ブラシオ市長が、マンハッタン区セントラルパークの観光用馬車を年末までに禁止にすると計画していることを受け、地元紙デイリーニューズはこのほど、同紙のウェブサイト上で馬車の存続を訴える署名活動を開始した。
同市長は選挙キャンペーン中から、観光用馬車の禁止を公約のひとつとして掲げていた。しかし、これは動物愛護団体NYCLASSが選挙で同市長を支持した見返りではないかという声もあり、市民の賛同は得られていない。キニピアック大学が行った最新の世論調査でも、市民の64%が馬車の存続を支持していることが判明している。
デ・ブラシオ市長が156年の歴史を誇る馬車の代わりに導入を予定しているのは、クラシックカー型の電気自動車だ。前述のNYCLASSが昨年、フロリダ州のクリエーティブ・ワークショップ社に製作を依頼し、このほど試作品が完成した。
NYCLASSの代表者は同試作品について「一台45万ドルと高額ではあるが、量産することで値段は半分以下になる」と説明し、馬車の禁止が実現すれば、68台を導入する計画であると明らかにした。同試作品は、現在開催されているニューヨーク国際自動車ショーで展示されている。
一方、馬車存続派の市民は「電気自動車が馬車の代わりになるとは思わない」と、公園の風景にふさわしいのは歴史ある馬車であることを訴えている。
今回の署名活動にはさまざまな著名人も参加しており、ニューヨーク在住の俳優、リーアム・ニーソン氏(映画「シンドラーのリスト」「スターウォーズ」など)は同紙の活動について「歴史あるこのニューヨーク名物を維持するための尽力に、心より感謝する」との声明を出している。