連載686  コロナ禍はオミクロン株出現で収束する可能性が。 WHOの言うことを聞いてはいけない!(中)

連載686  コロナ禍はオミクロン株出現で収束する可能性が。
WHOの言うことを聞いてはいけない!(中)

(この記事の初出は2021年12月14日)

 

感染しても無症状か、軽症で死亡例なし

 しかし、今日(12月13日)までの世界の報道をチェックしてみると、オミクロン株は、どうやら脅威ではない。デルタ株より感染力は強いが、感染しても無症状か軽症で、死者は報告されていない。つまり、「弱毒化」していると思われる。
 ジョンズ・ホプキンズ大学とブルームバーグの12月10日までの集計データによると、アメリカの1週あたりの感染者数は12月第1週に約12万人に達し、9月以降で最多となった。しかし、オミクロン株の感染者は25州で43例が報告されたが、入院は1例のみで死亡者はいない。
 また、欧州でも、確認された感染者数が少ないこともあるが、いまのところ、死亡者の報告はない。
 ただし、各国とも、「まだ判断できない」ということで慎重な姿勢は崩していない。そればかりか、入国規制を強化し、国内規制も強化している。
 それは、これまでのオミクロン株の感染者が若年者や活動性の高い旅行者が多いため、もともと重症化しにくいことが考慮されたからだ。しかし、もう少しデータがそろえば、弱毒化ははっきりするだろう。

オックスフォード大教授が弱毒化を指摘

 「ウイルスは変異するほど弱毒化する」と言われている。しかし、変異はランダムに起こるから、弱毒化はしないという説もある。「ゲノム分析ではいまのところ大きな変化はない」と日本の感染研は公表している。
 しかし、ウイルスは宿主を殺してしまえば自分も死ぬので、宿主と共存できるように変異していくという。そうなると、感染力は強まるが毒性は薄れていくことになる。これが弱毒化だ。
 現時点では、オミクロン株がデルタ株より感染力が強いのは事実だから、弱毒化していると考えていいのではなかろうか。
 オミクロン株が出現する2カ月前の9月22日、アストラゼネカのワクチン開発にも関わったオックスフォード大学のサラ・ギルバート教授は、講演のなかで、一般論として「ウイルスは免疫が高まった集団に広がると、時間とともに毒性が弱まる傾向にある」と指摘している。
 このサラ教授の見解に、研究者の多くが同意した。

ビル・ゲイツもパンデミック収束を公表

  最近になって、主要メディアも弱毒化説を唱えるようになってきた。「オミクロン株への急速な置き換わりは新型コロナパンデミックの終わりの始まり」と述べる専門家もいる。歴史を見ても、パンデミックはいつか必ず収束し、終焉を迎える。オミクロン株がそのキッカケなのではなかろうか。
「新型コロナといえばビル・ゲイツ」だが、そのビル・ゲイツは、最近になって、「2022年のある時点で(パンデミックの)急性期は終わると思う」とブログに投稿した。「オミクロン株が不安材料であることは疑いない。だが、これまでのコロナ禍のどの時点より今後出現しかねない有害な変異株への準備がいまは整っている」
 すでに、ビル・ゲイツは、オミクロン株が報告される以前の11月半ばの「ブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム」で、「新型コロナは来年半ばまでには季節性インフルエンザを下回る可能性がある」と述べている。
 また、JPモルガン・チェースの投資アドバイザーは、「オミクロン株はパンデミック収束のサイン」とし、投資家に押し目買いを提唱した。

(つづく)

 

この続きは1月19日(水)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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