博物館にテロ被害者の遺品 遺族からは反対の声も
ニューヨーク市当局は10日、これまで検視施設で保管していた米中枢同時テロの被害者の遺骨を含む遺品を、今月21日にオープンするロウワーマンハッタンの9.11記念博物館に移した。
これについて、遺族からの反応はさまざまで「博物館に移されることで、私たちが家族の死を悼んでいることを世界中の人に知ってもらうことができる」という声が聞かれる中、保管場所が地下であることから、洪水などによる被害を心配する声や、多くの観光客が訪れる博物館の一角で保存することについて、「まるで見せ物のよう」だと批判する声も上がっている。また、消防士だった息子を失ったローズマリー・ケインさんは、8日に行われた反対運動に参加し、「地下室に安置するのはやめてほしい。亡くなった3000人の魂に敬意を示すべき」と話した。
現場で発見された7030袋の遺品は、同博物館の地下保管室に移され、今後は被害者の家族とDNA鑑定の担当者のみがアクセスを許されるという。
ニューヨーク市では、テロ発生から12年が経った今も、被害者の43%にあたる1000人以上の遺体が特定されないままになっていることから、最新の技術を用いたDNA鑑定を中心とした照合作業を続けており、昨年1年間であらたに4人の身元が確認された。
鑑定の責任者である市職員は、「我々は遺族に遺体を還すために、12年前と変わらない決意で作業を行っている」としている。
遺体の鑑定には現在、市の年間予算23万ドルが充てられている。
博物館は5月21日に一般公開される。地下の保管室は検視当局の管轄に置かれ、遺族は中に入れるが観光客は近寄れない。